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サーキットから現金を強奪せよ!


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『オーシャンズ11』のヒットメーカー、スティーヴン・ソダーバーグが4年ぶりに新作を発表。全米最大級のストックカー・レース会場から現金強奪を目論む、“負け犬たち”の痛快クライム・ムービーだ。
文=永野正雄(本誌)

 毎年5月にノース・カロライナ州シャーロット・モーター・スピードウェイで開かれる“コカ・コーラ600”は、1周2400mのオーバル・トラックを400周するNASCAR(全米自動車競走協会)主催のストックカー・レースだ。トヨタも参戦するこのレースが、スティーヴン・ソダーバーグ監督の新作『ローガン・ラッキー』で重要な役割を果たす。
 主人公は、かつてアメフト選手として将来を嘱望されたジミー・ローガン(チャニング・テイタム)。とことんツキに見放された彼は、膝の故障でプロへの道を断たれ、妻には捨てられ、不自由な足のせいで炭鉱の仕事まで首になってしまう。そのローガンが、イラク戦争で左腕を失った弟と、運転が得意な美容師の妹、そして服役中の爆破のプロらと組んで、一世一代の犯罪計画を立てる。“コカ・コーラ600” のレース中、売店から地下金庫に送られる売上金を、そっくり強奪してしまおうというのだ。
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主役のローガンを演じるのはソダーバーグ作品の常連、チャニング・テイタム(左)。今、ハリウッドで最も人気のある俳優のひとりだ。
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5作目のジェームズ・ボンド役が決まったダニエル・クレイグ。本作では大胆なイメチェンを図り、イカれた爆破のプロを怪演。
「これは『オーシャンズ11』シリーズの従兄弟のような作品」とソダーバーグが語っているとおり、自身の大ヒット作と本作の類似点は多い。オフビートな味わいのあるコメディ・タッチのドラマでありながら、物語は緻密に組み立てられ、ラストにはサプライズも用意されている。違うのはブランド・スーツを着込んだ『オーシャンズ11』の面々に対し、こちらの男たちは、どこか野暮ったくて隙があり、時に危なっかしくもあるところだろう。とりわけ爆破のプロに扮した金髪のダニエル・クレイグの切れっぷりがキョーレツで、彼が6代目ジェームズ・ボンドであることをつい忘れてしまう。
 劇中のレース・シーンはさほど長くはないが、5班に分けたカメラ・クルーが捉えた“コカ・コーラ600” の映像は、現地の臨場感を伝えるのに十分。また普段はレースに参戦しているNASCARのドライバーたちが、警官やリムジンの運転手役などでカメオ出演しているのもご愛敬だ。さらに逃走シーンで活躍するフォード・マスタングや、主人公の弟が乗る色あせたポンティアック・グランプリなど、全編を通し監督のクルマに対する愛着が伝わってくる。すべてのカラクリが明らかになるあっぱれな幕切れまで、速いレーシングカーに乗りこんだ気分で楽しめる、ご機嫌な作品である。

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レース・シーンの撮影ではNASCARが全面協力した。彼らの協力の条件はただひとつ。「決して我々を悪者に描かないこと……」。
4年前に映画界からの引退を表明したスティーヴン・ソダーバーグ監督。本作の脚本に惚れ込み、早々に引退を撤回した。

『ローガン・ラッキー』 118分。TOHOシネマズ 日劇他にて全国ロードショー中。 配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/STAR CHANNEL MOVIES  2017 Incarcerated Industries Inc. All Rights Reserved.
 
 
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